こんにちは、DRAFIXです。いつも対戦ありがとうございます。
前篇に続き、後篇ではデータや計測方法の詳しい解説をしていきます。
内容的に若干タイトル詐欺っぽくなってしまったのが申し訳ないです…
前篇がまだの方は先にお読みください。
http://sumamate.com/diary.php?id=1229
実用的な情報はほとんど前篇の方に載っています。
◆吹っ飛びについての解説<詳細版> マニアック度:★★★★
前篇で「吹っ飛ばし力a倍≠撃墜%がa分の1」ということに触れましたが、もう少し突っ込んだ話をしてみます。
とりあえず「撃の吹っ飛ばし力が1.18倍」というデータに限定して話を進めましょう。
ずれの要因は2つあります。
1つめは単純で、撃の与ダメが低いことによるものです。
吹っ飛びの計算は攻撃終了時の相手%で行われますが、撃墜%は大抵攻撃を当てる前の%で記述されます。
そのため、与ダメ自体が低い撃は少し多めに%が必要です。
2つめは撃の補正がかかる範囲の問題です。
吹っ飛ばし力の計算式は、一番単純なトレモ・標準Mii(重さ100)の場合、
[{0.07×(攻撃力+2)×相手%}+18]×R.E.+R.A.
攻撃力:技の(最終段の)与ダメ
相手%:攻撃終了時のもの
R.E.値、R.A値:リアクション値
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<リアクション値って?>
吹っ飛びの強さを決める技ごとのパラメータです。
スマッシュならR.E.は1前後、R.A.は30~50くらいの値を取るものが多いです。
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です。実戦では重さ、OP相殺、ホカホカ、キャラごとの縦・横方向への飛びやすさの違いなどの補正が加わっていきます。ちなみにこの式は吹っ飛び距離そのものを求める式ではありません。
さて、この式は3つの部分
A:{0.07×(攻撃力+2)×相手%}×R.E.
B:18×R.E.
C:R.A.
に分解できます。Aは相手%に比例する部分で、BとCは%によらない固定された吹っ飛びです。
撃の補正は計算式の最後にかかる仕様のため、A,B,Cすべてが1.18倍されます。
単に相手%を1.18倍するとAの部分が1.18倍になるだけですから、それに比べると撃の強化はお得なのです。というわけで、こちらの誤差は撃墜%が少なくなる方にずれます。
吹っ飛ばし力計算式の解説については、シュウ氏のブログの説明をモロパk…非常に参考にさせていただいております。我流で書くこともできなくはないですが、ブログの方の説明が非常に分かりやすかったこと、また形式を揃えたほうがあちらを読んだことがあってこの記事を読んでいる方(もしくはその逆)に伝わりやすくなるだろうと考えての施策です。
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以上がずれの原因となります。
撃の吹っ飛ばしは2つが相殺する方向にずれるので、誤差はそれほど大きくなりません。逆に盾の場合は2つとも吹っ飛びにくくなる方に作用するので、実戦での耐久力は0.78倍をはるかにに凌ぐ数値となるでしょう。
計算式への理解が深い人であれば、撃は中央よりも画面端の方が強化の恩恵を受けやすく、逆にシュルク自身は崖を背負うとより脆くなる、ということにも気付くでしょう。
盾の場合はどうでしょうか? …そうです、画面端でも比較的安全ですね。
またこの計算式を見ると、与ダメが吹っ飛ばし力にかなり影響しているのがわかります。
「盾は与ダメが減るけど吹っ飛ばせる?」「翔は被ダメが増えて飛びやすくなるの?」
と心配になりますが、実はシュルクのモナドアーツはちょっと特殊で、吹っ飛ばし力計算に使われる攻撃力は常にアーツ無し状態のものが採用されています。ずれの1つめの要因があるので撃墜%は3~4%変わりますが、吹っ飛びが大きく変動することはないです。
この仕様がない場合、撃は倍率を相当上げないと吹っ飛ばしを強化できなくなってしまいます。
他にはクッパJr.のクラウン/本体判定なんかが同じ仕組みになっていたと思います。
◆リアクション値の呼び方いろいろ マニアック度:★★★★
調べたついでに載せておきます。検証とは全く関係ないです()
R.E.値:Reaction Effected。リアクション影響値。吹っ飛ばしの%による伸びの良さ。
R.A.値:Reaction Added。リアクション付加値。%によらない吹っ飛ばしの固定値。
R.F.値:Reaction Fixed。リアクション固定値。弱1段目など、吹っ飛びが%に全く依存しない技にのみ設定されている。
これらはまとめてリアクション値と呼ばれます。
日本のプレイヤーに浸透している呼び方のように思います。
一方、海外だと同じものを指して
R.E.値 ⇔ KBG:Knock Back Growth
R.A.値 ⇔ BKB:Base Knock Back
R.F.値 ⇔ WBKB:Weight Based Knock Back
と呼ぶことが多い様子。Weight Basedとは、弱1段目などの吹っ飛ばしが(前作までは)相手の重さにのみ依存することからつけられた名称です。
シュルクの弱3段目やエアスラがプリンにスカりやすいのはこのせいです。
今作ではホカホカ補正がかかるとさらにスカりやすくなります。
◆落下速度・走行速度について マニアック度:★★★
落下速度は崖切り離し→着地までのフレームを2か所・スロー(1/4)で測り、差をとって切り離しにかかる時間を除いた純粋な落下時間を出しています。走行速度も同様にして、走り始めの速さを除いています。
Kurogane Hammerの値では、急降下のスピードは通常落下の1.6倍だそうです。
計測したフレームもその比率をおおよそ保っているので満足。
一方気になるのが疾と盾のジャンプ力。どうやら微妙に盾の方が高いようなのですが、HDキャプチャの環境がないのでドット単位での計測ができません…
地上・空中でジャンプ力の補正値が異なる可能性もあるので尚更よくわかりません。
◆吹っ飛ばし力倍率計測の過程 マニアック度:★★★★★
どういう経緯で吹っ飛ばし力がa倍だと特定するに至ったかを書いておきます。
チラ裏レベルの内容なので本当に物好きな方以外は適当に流していただければ。
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吹っ飛ばしを強化するには
・吹っ飛ばし力を最後にa倍
・リアクション値を上げる;R.E.かR.A.か、その両方か
・与ダメを上げる、相手の重さを軽めに計算する
・その他得体の知れない何か
あるいはこれらの複合などが考えられる。
まず翔、疾、盾の吹っ飛ばし計算にアーツ無の攻撃力が使われていることに気付く。
→斬、撃もそうだろうと仮定。
以前ピクミン攻撃を調べた際、色によりR.E.値が違っていたので同じ仕様かもしれないと思いリアクション値を測ろうとする。ところで、リアクション値は全て整数という大前提がある。(R.E.値は小数だが、内部データ的には100倍したKBGが必ず整数になっている)
わかりにくいので以降は斬に限定。
① 無、斬での撃墜%を2か所で測定。
② 無での%とリアクション値から、2か所それぞれからの撃墜に必要な吹っ飛ばし力を計算。
~再掲~
[{0.07×(攻撃力+2)×相手%}+18]×R.E.+R.A.
③ 斬での撃墜%の計算 ≒ 無で求めた吹っ飛ばし力
という式が2本立つから、未知数である2つのリアクション値を求められる。ただしトレモだと小数点以下の%をコントロールできないため、あくまで「≒」である。求めたリアクション値2つは当然小数になるので、それに近い整数の値で整合性のあるペアを探す。
④ 無の計算式を再び利用。(無での撃墜%-1)で計算を行い、「ギリギリ撃墜できない吹っ飛ばし力」を求める。1を引かない場合の値と並べて、撃墜できる吹っ飛ばし力の範囲を絞り込む。
⑤ 斬の%と仮定したリアクション値のペアを使い、斬での2か所それぞれの吹っ飛ばし力を試算。④で出した範囲の中に吹っ飛ばし力が2つとも収まれば、めでたくリアクション値を決定できる。ペア候補が複数ある場合、精度を上げて測定し直す必要がある。
少し今更だが、測定する場所は、撃墜に必要な%が極端に少ない位置、極端に高い位置の2つを選ぶと良い。超低%で撃墜できる位置ではR.A.値の影響がほとんどで、逆に超高%ではR.E.値の作用が大きくなる。仮定した値が間違っていた場合、対応する方の吹っ飛ばし力が大きくずれるため判別がしやすくなる。
⑥ ところが、リアクション値を小数にしないと計算が合わない技が複数出てきてしまった。リアクション値は整数のはずなのでこれはおかしい。
⑦ 調べた技を見てみると、R.E.値・R.A値の無からの倍率がおおよそ揃っていることに気付く。「吹っ飛びa倍という」計算なのでは?と仮定して再計算したところ見事に合致。アーツの能力倍率はどれも小数第二位までなので、ここでもそれに従った。
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◆感想 マニアック度:?
計測で一番面倒だったのがステージ作りです。絵が描ける方には喜ばしい変更ですが、不器用な自分には苦でしかありません。Xモードの復活を密かに希望しております。
疲れちゃったのであとがきはこんなところで…
集え、検証勢。
2015年11月12日 23時03分に投稿
わかりやすい文章の書き方で読みやすかったです!次回の検証を楽しみにしています!