目標だったサークルの先輩との別れ

先日は大学の卒業式...だったはずだが、あいにくコロナウイルスの影響で学位を研究室で受け取って終了である。大学にはどうせ残るし、スーツじゃなくていいでしょと言って私服で研究室へ行った。つつがなく授与は終わり、何となくサークルの部室へ足を運んだ。

私にとって、スマブラと部室は切っても切れない関係。ただの遊びだったスマブラで、上達したいと思った場所であり、人生で一番スマブラをした場所である。勝てない日々に苦悩した日も、メテオに喜んだ日も、暴発に笑った日も部室にあった。

入学当初、スマッシュホールドも空中回避も知らなかった私は当然のように先輩大学生達からボコボコにされる。同じ人間なのにどうしてこうも負けるのか面白くて、何度も強い先輩達に挑んだ。アイテムありでも百戦百敗。一番強かった先輩(以後S)が目標になって、強くなるためにタイマンを望んだ。いわゆるガチ部屋ルールや競技ルールを知った。

一年経っても弱かった。他の先輩達には戦えるようになってもS先輩にはいくつストックを削れるか、だ。回避を知って、反撃を知って、復帰ルートを知った。全然足りなかった。ただただ弱かった。知らず知らずに人対策、キャラ対策に手を染めていた。

二年経ったらS先輩は卒業して修士に入った。もうS先輩とは互角に戦えた。抜け目のない強さだと思ったかつてとは異なり、隙もあるし油断もあった。純粋な戦いだった。コンボ、連携、回避読み、崖、色々な戦術を身に付けた。三年生の終わりには新作も出た。

三年経ってもまだまだ互角だった。たまにオンラインで対戦しても撃墜数勝負ではどっちもどっち。どちらも発売直後にVIPへ入っていた。しかしもうお互いに卒業、修了の年である。きっと戦えるのは今年で最後だろうと思いながら自分を磨いた。しかし、先輩はスマブラに触らなくなっていった。

ほぼ四年経ったのが今日。部室に足を運んで、しばらくダラダラした後、たまたまS先輩がやって来た。鍵を返すためだとか。折角なのでスマブラをした。S先輩は就職や論文で長くスマブラに触っておらず、対して私は殆どの日はスマブラをしていた。結果は明白、どんなマッチアップも勝利。負けたのはほんの2戦程度だけだった。結局、卒業の日になって初めてS先輩を越えたのだ。

S先輩は就職して大学を出る。もうきっと会ってスマブラをすることはない。例えあったとしても今日のようにヒリついた読み合いをすることもなく、研ぎ澄ませたような鋭さの目で撃墜を狙うこともないだろう。ただ、自分をこれまで高めてくれた先輩に、成長を見せ、スマブラで答えを返せた。運が良い。

コロナで式典が消えた自分にとっての、本当の卒業式だった。

2020年3月26日 11時11分に投稿

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コメント

2020年3月27日 10時44分

『ゲーム=悪』と考える人が一定数いる中で、こういう出会いとか関係性もあるんだよって改めて思わされた。卒業おめでとうございます。これからも好きなことを楽しみながら、そこで産まれる交流を大切にしてください!